いつものように仕事から帰宅した私は、真っ先にポストを開けて郵便物を取り出した。
「またDM……それと……市報……」いつもそれらの類には興味がないけれど、ふと、市報の表紙に目が止まった。

鮮やかな新緑に映える真っ白な滝を背に、参列者からの祝福を受けてとびきりの笑顔で応える、紋付袴と眩しいばかりの白無垢に身を包んだ1組のカップルの写真。
写真の下には
「明治の森箕面国定公園指定50周年記念 箕面大滝wedding」とあった。

私は、「粋なこと企画するなー、箕面市!」と感心しつつ、溢れんばかりの幸せオーラ全開の2人の写真に吸い込まれてしまった。
朱色の傘をさして、少し緊張の面持ちで静々と滝へ向かう姿や、大滝の前で、永遠に互いを慈しみ合う誓いをたてている2人の姿は、まるで映画のワンシーンから出てきたかのようだった。
決して市報は上質な紙に刷られたわけではないけれど、凛とした緊張感と式を終えたあとの安堵と喜びとが表紙からでも十分に伝わってきた。

きっと、実際にその場に居合わせた参列者や観光客は、その美しい光景に嘆息を漏らしたに違いないだろうなと。

私が初めて箕面の大滝を訪れたのは、もう10年以上前のこと。
大学進学のために大阪に移り住んだのだが、箕面にある大滝に足を運んだことはなくて、それどころか大学と家とバイトの往復以外、あまり出かけることは無かった。
そんな折、「私なぁ、彼氏にフラれてん」と親友から電話があった。
お茶でもしよう♪と彼女を誘ったのが、初めて大滝を訪れたきっかけになった。
どこでお茶しようか?と駅前を歩いていたら、大滝に通じる山道の入り口を発見。
「せっかくやしさ、ちょっと行ってみる??私も行ったことないねんけど。」と彼女。
「そうだね、道もちゃんと舗装されてるし、こんな格好のままでも行けそうだよね?」と、至って軽装備の私たちだったが、気の向くままに大滝を目指すことにした。

歩みを進めていくと、
「名物 もみじの天ぷら」
と書かれた看板を掲げた風情あふれる土産物屋や、
川床料理を振る舞う料理屋もあって、「なんか、小旅行に来たみたいやね~♪」と、失恋で落ち込んでいたはずの友人のテンションも、いつの間にか上がり始めていた。

滝が近づいてきた辺りから、周りの空気が少しひんやりとしたものにかわり、「いよいよね大滝やね!」と胸が高鳴った。

ドドトドドドドド……!幅は5メートルくらいかな。10階建てのビルほどもありそうな高さから、勢いよく清らかな水が、まるで地面に吸い込まれるように落ちていく。
その美しさに、ただただ友人も私も口をポカンと開けたまま、呆然と立ち尽くし、すっかり見とれてしまった。
目をつぶって、お腹に響くような水の音と、澄んだ水のミストを全身に浴びて、しばらくその場に立ち尽くしていた。

すると、ふいに彼女が、「なんかもう、私、全部吹っ切れたー!」と言った。
私も彼女の気持ちが分かった気がした。
実際、その頃の私は、地元を離れて、大阪での新生活でホームシックになっていた。
そんな自分の気持ちを何とか抑えて過ごしていた日々に、疲れすら感じていた。
しかし、神々しさすら感じる大滝の空間に身を委ねていると、疲れや寂しさが吹っ飛んだのだった。

「こんな秘境みたいなところが、案外街から近いところにあるんやねぇ」と2人で感心しながら帰路に着いたのを今でも覚えている。

それ以来、仕事や日常生活に少し疲れたな……と感じる時は、この厳かな大滝の空間に身を投じて静かにパワーチャージをした後、山道のお店巡りをしたり、川の水に足を浸してリフレッシュするのが私の楽しみになった。

日々仕事が忙しくて疲れてる時、
育児や家事に追われる毎日、
悩みってみんな誰しもあって、誰しも癒されたいですよね?
そんなときは、
ぜひ、「箕面の滝」を訪れてみて下さい。
きっとまた、元気に前にすすめる力が湧いてきます。